Google は Gemini Flash の新モデルを3つ投入したものの、みんなが待っていた Pro の更新は見送り。ビットコインは約2,500ドルのレンジに張り付き、日曜クローズがカギ。CME 先物の建玉は2023年10月以来のボトムまで低下。Metaplanet の子会社は、株価が厳しい年でもビットコインを積み上げるために約6,000万ドルを調達。そしてワシントンでは、CLARITY 法案の命運は残り平日4日。では、いきましょう。
Google は今週 Gemini の新モデルを3つ出しました。注目は、入っていないもの。Gemini 3.5 Pro はなし。まだパートナー向けテスト中で、すでに Gemini 4 の事前学習ランも走っているとのこと。代わりに来たのが 3.6 Flash、3.5 Flash-Lite、そしてニッチな 3.5 Flash Cyber です。
まずは 3.6 Flash。これは主力機。Google によると、同等タスクで 3.5 Flash より出力トークンを平均17%節約、コード系ベンチでは最大65%少なく済むケースも。出力トークン単価は100万トークンあたり9ドルから7.5ドルへ、入力は1.5ドル据え置き。DeepSWE は37%から49%へ、MLE Bench は約50%からほぼ64%へジャンプ。要するに、ムダな修正が減り、推論の堂々巡りが減り、エージェント運用コストが下がる。ベンチの数字より、この最後のポイントが効きます。本番でエージェントを回しているなら、トークン効率がすべて。
次に 3.5 Flash-Lite。毎秒およそ350トークンを吐き出し、料金は入力が100万トークンあたり0.30ドル、出力が2.50ドル。コンピュータ操作ツールを内蔵して出荷。大量のエージェント駆動検索や文書処理ワークロードをはっきり狙っています。
そして注目株が 3.5 Flash Cyber。脆弱性の検出と修正に特化調整され、CodeMender というエージェント基盤と組み合わせ。V8 エンジンのテストでは、素の 3.5 Flash の47件、Claude Opus 4.6 の36件に対し、ユニークで確認済みの問題を55件指摘。Google の Big Sleep チームによれば、Chrome、Android、社内の Cloud コードベースでも見つけづらいバグをすでに捕まえているとのこと。あるチームは、ASLR を迂回する100%再現性のあるエクスプロイトで、リモートコード実行(RCE)脆弱性を2時間で特定したという話まで。理由は言わずもがな、アクセスは政府と信頼できるパートナーに限定です。
戦略的に見ると、Google は今月の最先端ベンチ勝負を取りにいっていません。エージェントが実際に走る市場のミドル帯を、安く、速く、特化で総攻勢。一方で OpenAI も Anthropic も出荷を続ける。各社ひたすらイテレーション中です。
同じ流れで、エージェント駆動のコーディングは、アシスタントから自律ワーカーへ静かに一線を越えつつあります。今週、それを現実にする出来事がいくつか。
GitHub Copilot の Cloud Agent が Linear 内で一般提供に。Linear のチケットを Copilot にアサインすると、隔離された GitHub Actions 環境を立ち上げ、コードベースを読み、解決案を作ってプルリクを開く。進捗はチケットにストリームで戻ってきて、追い指示はメンションでOK。無監督で本番コードを書くわけではないけれど、チケットからドラフト PR までのループは、人がキーボードに触れずに数分単位になりました。
今週は Copilot に Claude Opus 5 も入り、対象は Pro Plus、Max、Business、Enterprise の各プラン。Anthropic はサイバー関連コンテンツへのセーフガードを強化。Google が Flash Cyber で攻撃寄りの領域を開拓しているのと対照的で、思想の違いはあれど、根っこにある緊張感は同じ。
OpenAI は別方向。GPT-Live のフルデュプレックス音声を ChatGPT のデスクトップアプリ(macOS/Windows)に入れ、Codex と ChatGPT Work に配線。これで、バックグラウンドでマルチスレッドのコーディングタスクを走らせながら会話でき、Slack、GitHub、ローカルリポを横断して、デバッグ、PR レビュー、ユニットテスト生成を音声プロンプトひとつでオーケストレーション。重い推論は裏で GPT-5.5 にオフロードし、音声モデルは対話を捌く構えです。
JetBrains も Rider と ReSharper 2026.2 を出荷。カバレッジデータやプロファイラ出力、リファクタリングエンジンといった実プロジェクトの文脈を持つ AI エージェントを組み込み。ReSharper は Junie を導入し、LLM 非依存でターミナルコマンドの実行、git 管理、リファクタを Visual Studio の中で自律実行できます。
方向性は明白。IDE はもはや自分でコードを書く場所ではない。コードを書くエージェントを監督する場所だ。それが新人エンジニアの育成に良いかは、また別の議論です。
Metaplanet は米国外のビットコイン財務運用の教科書を更新し続けています。今週は新たな一章。東京上場の子会社 Bitcoin Japan が、最大で96.6億円(約5,950万ドル)の資金調達枠を EVO Fund と締結。ゼロクーポンの転換社債(CB)と新株予約権(ワラント)のミックスです。まずは6.62億円(約400万ドル)を即時のビットコイン購入に充当。残りは事業拡大の原資。
ポイントは構造面。親会社の保有はすでに約4.3万 BTC、評価額は約28億ドル。それでも親会社のバランスシートで単純に買い増すのではなく、子会社側に独自の証券を発行して自立的に積み上げられるファイナンス・ビークルを構築している。財務アーキテクチャが成熟してきた証左で、親会社の希薄化を常に続けずにスケールできる形です。
背景も重要。Metaplanet の株価は年初来で50%以上下落。親会社は2027年末までに21万 BTC という目標に最近修正しましたが、足元の価格でも数十億ドル規模の資金が要る計算。つまり今回の子会社ファイナンスは勝利の周回ではない。株価が沈むなかでの倍賭けです。
一方の米国では、Strive(旧 Semler+Asset Entities)が平均約63,221ドルで21 BTC を追加購入し、保有は19,921 BTC、手元資金は1億5,700万ドルに。小口の買いですが、負債ではなく永久優先株で賄っています。上場後最初の半年で最終赤字は3億9,300万ドルに達し、その多くはビットコインの時価評価会計と新株発行の会計処理によるもの。マネジメントは公然と「もっと大きな軍資金が欲しい」と語っています。
俯瞰すると、Galaxy は休眠ビットコインの移動が4年ぶりの低水準に落ち込んだと指摘。古参勢の放出は鈍化。長期保有層の売りが一巡し、財務系の買いがストラクチャードなデットで続くなら、フロートは締まる一方。今週のチャートがどう動こうと、セットアップはそこにあります。
ビットコインの週足クローズは6万4,500ドル近辺。上は6万5千ドルのレジスタンス、下は6万2千5百ドルのサポートにはさまれています。7月21日には直近1カ月高値の66,990ドルをタッチしたものの、すべって戻り、ブレイクアウト水準が天井に。日曜クローズが重要。6万5千を取り戻せば6万8千への扉が開き、はね返されれば6万2千5百、その下は6万ちょうどが射程。
ただ、より面白いのはデリバティブの積み上がり。CME のビットコイン先物建玉は、6月限の期日通過後に90,030 BTC まで低下。2023年10月以来の安さで、2024年12月のピークから約58%減。フロント物のコンタンゴは実質ゼロ、年率ベーシスは4%未満、薄い時間帯は2%近くまで沈む。機関は強めにデレバ中です。
同時に、パーペチュアルの資金調達率は年率で約6.25%まで上昇し、パーペ建玉は1万5,600 BTC 増える一方で、CME の建玉は8,000 BTC 減。つまりレバは消えていない。移っただけ。規制された米国市場からオフショアのパーペへ。機関が脇で静観する間、リテールとクリプトネイティブのファンドがテープを回しています。
オプションも同じ絵。Deribit の最大強気ポジは8万ドルコールから7万ドルコールへシフトし、同ストライクの建玉は16.3億ドル規模。Deribit、CME、Binance、OKX をまたいだマックスペインは6万〜6万5千に密集しており、ほぼ現物と同位置。7月17〜19日の週末に目立ったのはブル・コール・スプレッド。7月31日限月で7万ドルコールをロング、7万2千ドルコールをショート。狙いは控えめな上方向、ムーンショットではありません。
もう一つ。マイナーには本日7月26日前後に難易度がおよそ16%低下という追い風。まだ稼働しているマシンには実質的なライフラインです。ただし、AI コンピュートの契約190億ドル規模が、最大手マイナーを HPC ホスティングへ引き寄せている現実も。難易度調整はハッシュにコミットし続けるところを助ける一方、他はハイパースケーラーからより良い条件で誘われています。
機関が CME のレバを2年ぶりの低水準まで外し、休眠コインは動かず、財務勢はストラクチャードなデットで買い続ける——それは弱気のセットアップではない。縮んだバネのそれです。