AI競争にとって大きな一日。SpaceXAIがGrok 4.5をリリースし、AnthropicとOpenAIを下回る攻めた価格で勝負を仕掛けてきた。ビットコインは、フィデリティが2015年から追跡している長期パワーローのサポートライン付近を漂い、イランへの米国の新たな攻撃にもほぼ無風。BIP-110のフォーク論争は過熱中で、セイラーとアダム・バックが同じ側に立つ一方、マイナー支持は現在ゼロ。アダム・バック自身の30,021 BTCトレジャリー案件では資金スキームが崩れた。そしてHyperscale Dataはトレジャリーで1,000 BTCを突破。さあ、行こう。
SpaceXAI――旧xAIで、いまはSpaceX傘下――がGrok 4.5を出荷。株式公開後初のモデルで、イーロンは「Opus級」と呼んでいる。つまり、AnthropicのOpus 4.7に概ね匹敵する性能で、しかも速くて劇的に安い、という主張だ。 価格が面白い。Grok 4.5は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり6ドル。対してOpus 4.7は入力5ドル、出力25ドル。ベンチマーク対象にしている相手の出力価格に対し4倍のディスカウントだ。OpenAIのGPT-5.6 Solバリアントは5ドルと30ドル。OpenAIの廉価「Luna」ティアが1ドルと6ドルで、出力価格はGrokがほぼ並んだ。 このモデルはNVIDIAのGB300 GPUを数万枚使って学習され、コーディングエージェント「Grok Build」のデフォルトエンジンでもある。Cursorとの提携も深く、最大100億ドルの出資交渉、あるいは最大600億ドルの買収提案との報道まであるが、いずれも未確認。 ベンチマークでは、Grok 4.5は競争力は高いが絶対王者ではない――これが正直な見立て。OpusやGPT-5.6に全評価で勝っているわけではない。ただ、プロダクトを作って大規模にトークンを消費するなら、2点ベンチで勝つことより価格とレイテンシのほうが効く。トークン効率が2倍でコストが半分以下なら、十分な楔になる。 より大きな絵で見ると、SpaceXAIはGrokの統合も進めている。Word、PowerPoint、Databricks、Amazon Bedrock、Warpまで。単にモデルを売るのではなく、ナレッジワーカーが日中を過ごす実際の面にGrokを配線している。EUでの展開は7月中旬に延期。そして先端は今や四強の戦いに。OpenAI、Anthropic、Google、そしてSpaceXAI。18か月前に、マスクの陣営がこのグループに入ると読んだ人はほとんどいなかった。
静かだが、むしろ大きな出来事がヘルスケアで進んでいる。本物のエージェント型AIが臨床ワークフローに入ってきた。チャットボットでも要約でもない。患者ケアに影響を与える意思決定支援システムだ。 英国のEast Kent Hospitalsは、NHSトラストとして初めてMEMORIというツールを導入。日常の臨床データ――血液検査、バイタル、投薬――を取り込み、患者ごとの感染リスクスコアを生成する。後方視的なエビデンスでは、標準の早期警告システムより最大72時間早く悪化をフラグできる可能性が示唆されている。院内での主要な死因である敗血症に対して、これは極めて大きな介入ウィンドウだ。 台湾では、NVIDIAとFoxconnが「Healthy Taiwan」という15億ドル規模の取り組みを支援。医師一人にAIチーム――複数の特化エージェント、心電図エージェント、診断エージェント――を、プラットフォーム「CoDoctor」上で連携させる構想だ。NVIDIA Omniverseでデジタルツイン・シミュレーションを回し、実患者に触れる前に検証する。 イスラエルはさらに踏み込む。三つの大病院で、提案ではなく実際に意思決定まで行うAIのレギュラトリー・サンドボックス試験が進行中。医師が定義したプロトコルに基づき治療調整まで行う心不全の在宅モニタリング。専門医レビューを省略できるとAIが判定する在宅の超音波検査解析。 香港では、ある放射線科がAWS PrivateLinkの背後で、外部APIを一切呼ばない閉域のAmazon Bedrock環境にAIを載せ、患者のWhatsAppでの中英ちゃんぽん問い合わせに対応。1,000種類超の検査の見積もり提示までこなしている。 共通するのはここ。議論の焦点は「医療にAIを入れるべきか」から、「責任と監督、そしてAIが判断を拒否すべき境界はどこか」へ移った。12か月前よりはるかに成熟した会話になっている。
今週のビットコイン・ベンチャー資金調達には、基調が一つある。ベースレイヤーへの回帰だ。 Tetherが支援するAsk Labsは、Bitcoin上に直接構築するプログラマブルな実行レイヤー「Arkade」を進めるため、520万ドルのシードをクローズ。リードはTether。Ego Death Capital、Anchorage Digital、Epoch VCが参加。累計の機関投資支援は現在770万ドル。狙いは、ラップトークンやクロスチェーンのカストディなしで、ビットコインのベースレイヤー上で決済、レンディング、エスクロー、条件付きトランザクションを成立させること。 同時に、TetherはRGBプロトコルを通じて、ついにUSDTをネイティブにビットコインへ戻す。これは原点回帰だ。USDTはもともと2014年にBitcoinのOmni Layerでスタートし、その後EthereumとTronへ移っていった。商用展開はUTEXOが主導し、今年3月にTetherを主要投資家として750万ドルを調達。ローンチは数週間以内と見込まれる。RGBはクライアントサイド検証を用い、セキュリティはBitcoinにアンカーし、ライトニング対応でほぼ即時決済が可能だ。 これが意味するところはこうだ。時価総額1,840億ドルの世界最大のステーブルコイン発行体が、EthereumやSolanaの拡張ではなく、今後のインフラを意図的にビットコイン経由に振ろうとしている。これは気分ではない。資本配分の意思決定だ。 トレジャリー面では、アダム・バックのBSTR案件は30,021 BTCでのローンチ計画が壁にぶつかった。元の資金パッケージの拘束力が失われ、カンター・フィッツジェラルドとBSTRが条件を再交渉中。純粋なビットコイン・トレジャリー車に対する大口の投資家需要がまだ健在なのか、それともStrategyがその需要の大半をすでに吸収してしまったのか――生きた試金石だ。 さらにBIP-110の争点。Ordinal系のスパムを抑えるため、1年間、任意データに上限を設ける提案だ。マイナー支持は今のところゼロ。セイラーとアダム・バックは、スパム論争をコンセンサス争いにしてしまうほうがスパムそのものよりリスクが大きいと警鐘を鳴らしている。おそらくその通りだ。
企業のビットコイン・トレジャリーは、単なる積み上げの物語から資本構成の物語へと移っている。今週の三つのデータポイントがそれを示す。 まず、SpaceXがNasdaq-100入り。インデックス連動ファンドから約43億ドルのパッシブ流入が自動的に発生する。SpaceXは18,712 BTCを保有し、バランスシート上のビットコインの公正価値は約12億ドルと開示。つまり、あらゆる年金基金、あらゆる401kのインデックス配分が、新たな承認なしに標準的な株式インフラを通じて、ビットコインへのエクスポージャーの一部を買い始めるということ。ようやくパッシブフローの導入チャネルが開いた。 次に、Strategy Inc.――セイラーの会社――が、ビットコイン準備を担保にした56億ドルのデジタル与信枠を設定。48時間で3.2倍の需要超過となった。この仕組みは、借入余力をビットコイン担保のステーブルコインに連動させ、企業がBTCを売らずに運転資金へアクセスできるようにする。これこそ欠けていたピース。ビットコインを遊休資産ではなく生産的な担保にする仕組みだ。 三つ目。Blockが、同社の8,883 BTCについてオンチェーンのプルーフ・オブ・リザーブを公開。企業トレジャリーに加え、Cash AppとSquareのレール分も対象だ。独立検証可能な法人保有としては第14位の規模になる。FTX後、こうした透明性はもはや前提条件になりつつある。 とはいえ、すべてのトレジャリー車が強気というわけではない。エリック・トランプのAmerican Bitcoin――トレジャリーに8,000 BTCを持つ法人として17位――は、ナスダックの上場廃止回避のため15分の1の株式併合を実施。株価は2025年9月のIPO以来、およそ94%下落。採掘マージンが50%超でも、第1四半期は8,180万ドルの純損失。トレジャリーは増えても株主価値は崩れる。流動性が薄く希薄化が重い純粋プレー型のリスクだ。 一方で、Empery DigitalはAIデータセンターへの転換資金に充てるため、トレジャリーから実際にビットコインを売却。報道で株価は上昇。つまり、市場はもはや「積み上げ続ける」戦略だけを一律に評価してはいない。ビットコインを何に使っているのかまでを織り込み始めている。
ひとつ予想を。次のビットコインのドローダウンを生き残るのは、いちばん大きな積み上げを持つ会社じゃない。売らずにそれを担保にして借りられる仕組みを作った会社だ。